高成長超優良銘柄:マイクロソフト【MSFT】(2020年5月5日時点)


財務的に安定していて、ものすごく利益も出している。超大型銘柄なのに、テクノロジーの発展と共に大きく成長もしている。連続増配や自社株買いにより株主還元施策も継続して行っている。新型コロナウィルスの影響をあまり受けず、逆に成長のチャンスに捉えている。日本の証券会社から少ない資金で手軽に投資を始める事ができる。


そんな嘘のような万能な会社はあるのだろうか?あれば中長期で投資してみたい!という方はきっと多いはずです。

ご安心下さい。


そんな凄い会社があるんです!それがあのマイクロソフト【MSFT】なんです!


この記事では、上記の要素をすべて兼ね備えていて、私自身も物凄くおすすめする超優良銘柄のマイクロソフト【MSFT】を取り上げたいと思います。下記目次で説明していきますので、是非参考にして、マイクロソフトへ投資を検討いただければと思います。




実績推移

売上、営業利益、純利益

マイクロソフトの売上高と営業利益の実績推移が下記のチャートになります。見ての通り売上は右肩上がりですね。一方、営業利益は2010年度から2015年度は上がったり下がったりしており、2016年度頃から一気に売上に比例して成長している事が分かります。株価も2016年度頃から傾斜が急になり上昇を見せています。直近12ヵ月(2019年6月~2020年3月)の売上は1,387億ドル(約14兆7,000億円)、営業利益は520億ドル(約5兆5,000億円)にもなります。

マイクロソフトIR資料から独自作成


純利益はどうでしょうか。純利益は減損や資産売却等の特別損益、さらには税法の変更による繰延税金負債の増加に伴う損益の影響を大きく受けますので安定しません。それでも2018年度を除けば2016年度からはずっと右肩上がりの増益です。

2018年度はトランプ政権による税法の大きな変更がありました。Tax Cut and Jobs Act (TCJA)という法律で、連邦法人税率が35%から21%に減額される代わりに、海外源泉の利益の米国への見做し償還に15.5%もの特別資金移動税率を適用する内容です。これにより、マイクロソフトはネットの効果(2018年度の連邦法人税減及び将来海外源泉利益の繰延税金負債計上による特別損失)で130億ドルもの特別損失を計上しました。この効果を除けば2016年度からずっと純利益は増加し株価も同じペースで上昇し続けています。

マイクロソフトIR資料から独自作成


四半期ごとに売上と営業利益を見てみると、一年の内で凸凹が規則的に発生している事がわかります。マイクロソフトのビジネス特性上、12月と6月に新しい年、もしくは新事業年度(米国企業は6月決算の企業がとても多い)に向けての企業との契約更新や新規契約の多くが発生するため売上が3月と9月を含む四半期よりも伸びる事が理由です。

マイクロソフトIR資料から独自作成


売上要素分解(費用分解)

続いて、売上高を売上原価、研究開発費、販売管理費その他費用、そして残る営業利益に分解したのが下のチャートになります。線グラフは売上高に占める各項目の割合推移を表しています。

特徴的なのは、研究開発費の売上高に占める割合にほとんど変化が無く、2011年度からずっとほぼ13%で推移している点です。売上は大幅に増加していますので比率が一定ということは研究開発費も売上に比例して増加している事になります。絶対的な金額ではなく、売上の13%程度は必ず研究開発に使用して成長を促す、というマイクロソフトの方針が垣間見れます

一方、売上原価率と販売管理費その他費率は対照的な動きを見せています。従来はオフィスアプリケーションのライセンス供与ビジネスが大部分を占めていたので、原価はほとんどかからず、ライセンス導入のための販売管理費用(人件費含め)が多くを占めていました。それがクラウドビジネスに移行していくにつれ、従来の販売管理費の削減が行われると同時に一部が原価と認識されるようになり、さらに無料試用を設けたりする事で原価率が高まっていっています。とはいえ2017年度から原価率が微減傾向にあるのは、原価率がそもそも高く無い商品・サービスであるAzureの売上比率が高まり商品・サービスmixが改善したのが理由になります。

マイクロソフトIR資料から独自作成


PER、株価、株式時価総額

PER、株価、株式時価総額をみていきましょう。まずは株価と時価総額についてです。株価の上昇率と株式時価総額の上昇率がほぼ同じに見えますね。マイクロソフトは自社株買いを継続的に行っていますが、下記チャートを見る限り、自社株買いによって減少した流通株式数は株式総数と比べ非常に小さい事が分かります。株価が継続的に上昇しているため、自社株買いも常に高値で買う事になるから買取株式数がそれほど大きくならないのかもしれません。

極端な例でいうと、例えば自社株の50%を買えば、残りの50%の株式の価値は2倍になります。それは株主にとっての会社の価値(株式時価総額)は変わらないけど、市場流通株式数が半減するからです。下記チャートではそのような株価と株式時価総額の大幅な乖離は見られないため上段の結論に至りました。

マイクロソフトIR資料から独自作成


PER水準はどうでしょうか。ご存知の方も多いと思いますがPERは株価収益率という意味で、株価 / 一株当たり純利益、で計算されます。これが高すぎると過剰評価、低すぎると過小評価と判断できます。勿論高い低いは競合比較や過去実績比較で相対的な判断が一般的です。

下記チャートを見ると、直近の30倍弱のPERは過去水準でも高い範囲に分類されます(2018年は特損が大きかったが株価があまり下がらなかったためPERが異常に高く計算上はなっています)。Googleの約27倍やFacebookの28倍と同水準ですね。

PERはマイクロソフト過去実績比較では高い水準だが、GAFA(但し100倍超えのAmazonは除く)と同水準というのは少し興味深い事実です。リーマンショック後から2014年度頃までは10倍前半、時には10倍を切る時もありました。これはマイクロソフトがスマートフォン革命に乗り遅れたことに対する投資市場の評価になります。しかしながらその後クラウドビジネスへ大きく舵を切り成功を収めた事から、今ではGAFAと同じ”テクノロジーの革新で成長が望める企業”という評価が投資市場に広がりPERに反映された、と解釈できるのではないでしょうか。

マイクロソフトIR資料とYahoo Financeから独自作成


配当、自社株買い

マイクロソフトは成長企業・グロース株に戻りましたが、株主還元は行わず事業資金や投資に全て回すAmazonと違い、配当も自社株買いも下記チャートの通り四半期ごとに継続的に行っています。直近12ヵ月では339億ドル(約3兆6,000億円)もの株主還元を行っています。凄い額ですね。配当利回りは約1.0%程度と高くはありませんが、株価上昇と配当両方が期待できるのは良い事だと思います。

マイクロソフトIR資料から独自作成


マイクロソフトの会社概要

会社基礎情報

本社:ワシントン州レドモント
従業員数(2019年6月末時点):約140,000人
創業者:ビル・ゲイツ(Bill Gates)
現CEO:サティア・ナデラ(Satya Nadella)
総資産、負債、株主資本額(2020年3月末時点):2,854億ドル
直近12ヵ月売上高、営業損益、純損益(2019年4月~2020年3月末):1,387億ドル、520億ドル、463億ドル
株価(2020年5月5日時点):175.2ドル
時価総額(2020年5月5日時点):約1兆3,300億ドル

CEOとCFOの経歴

Satya Nadella氏:CEO (最高経営責任者)

まずは、CEOから。現CEOはSatya Nadella氏になります。2014年に全CEOであるSteve Ballmerの跡を引き継ぎ最高経営責任者になりました。1967年8月19日生まれ、現在52歳です。生まれはインドで、インドの大学を学部で卒業した後、米国のウィスコンシン大学院でコンピュータサイエンスの修士号を取得しました。後にシカゴ大学経営大学院でMBAも取得します。AmazonのJeff BezosやFacebookのMarc Zuckerbergなどの創業者のような威圧感やカリスマは無く、顔は凄く穏やかで謙虚そうです。でも頭はとてつもなく鋭いんでしょうね。このような穏やかなリーダーの方が裸の王様ではないので、従業員も働きやすいし、組織はまとめるのではないでしょうか。

1992年にサン・マイクロシステムズに技術者として最初のキャリアを歩みました。その後マイクロソフトに転職し、研究開発部門及びビジネス部門の副部長を務めた後、サーバー・ツール部門長としてクラウドインフラビジネスの拡大に貢献しました。このクラウドインフラビジネスは正に現在進行形で急成長しているAzureになります。そして功績が認められ2014年にCEOに大抜擢されます。エリートですが地道に技術屋を務めて実績を残していますね。

CEOになってからは、マイクロソフトの組織改革、従業員のマインドセット改革、ビジネス改革を推進してきました。具体的には、従来競合会社であるApple、Salesforce、IBMなどとも協力し、彼らを顧客及びオープンソース開発のパートナーと位置付けました。また、従来のライセンスフィーフォーカスのビジネスモデルから、明確にクラウドサービスのサブスクリプションベースのビジネスモデルへのトランスフォーメーションを実現しました。その過程で、Mission Statementも”地球上のすべての人、組織がより高い目標を実現できるように力を与える”に変更しています。実際Satya Nadella氏がCEOになってからでマイクロソフトの業績は大幅に改善し、株価も3倍に成長しました。


Amy Hood氏:CFO (最高財務責任者)

次にCFOのAmy Hood氏について。彼女は米国生まれで1994年にデューク大学で経済学の学士号を取得しました。そしてその後にハーバード大学経営大学院でMBAも取得します。2002年にマイクロソフトに入社するまで彼女はゴールドマンサックス証券の投資銀行部門及びキャピタルマーケット部門で数々の業務に従事していたそうです。物凄くエリートですね。しかも2002年はドットコムバブルの後遺症がまだあった時期です。ドットコムバブル崩壊からIT企業が回復し、マイクロソフトはきっと成長するという先見の明があったのでしょうか。

マイクロソフト入社後はまずIR(Investor Relations)部門に配属になり、その後サーバー・ツール部門、コーポレートファイナンス部門で経験を積んだ後、マイクロソフトビジネス部門の財務責任者としてMicrosoft Office 365やDynamics 365といったクラウドサービスの成長に大きく貢献します。その過程でSkype等の戦略的な買収案件もリードしています。そして、2013年5月についにCFOに抜擢され今に至ります。

個人的に決算説明会のカンファレンスコールを聞いたりしていますが、Satya Nadella氏がビッグピクチャーや戦略を厚く語るのに比べ、Amy Hood氏は的確に投資会社や証券会社のAnalystの質問に具体的な数字を交えて論理的に回答しているのが印象的でした。役割の違いがあるとはいえ、マイクロソフトの数字を支えてきた縁の下の力持ちなのではないでしょうか。


主要製品・サービス

GitHub

GitHub社はマイクロソフトが2018年9月に75億ドルで買収しました。GitHub社が提供するサービス(コミュニティ)はGitHubと呼ばれており、一言でいえば、”オープンソースでの開発者(プログラマー)のための開発プラットフォーム”、です。開発者がオリジナルコードをローカルレポジトリにコピーし分散開発を行い、その編集やオリジナルへの反映がシステマティックに不特定多数の人間間で行える事が特徴。マイクロソフトはGitHubの独立性を尊重すると同時に、自らのクラウドプラットフォームであるAzureのアプリケーションのオープンソース化(オープンソースアプリをAzureで利用可能とする事)も目指しています。昨年時点で4,000万人の利用者がいるとのこと。下記TechCrunchに詳細が記載されています。

TechCrunch:そもそもGitHubとは何か


Visual StudioとVisual Studio Code

こちらは一言で言えば、”プログラムコーディングのエディタ”になります。Visual Studioが統合開発環境と言って、多人数による大規模開発が可能で、コンパイラやデバッガー機能がしっかりしている一方、Visual Studio Codeはより小規模なコーディングに適したエディタになります。使用可能なプログラミング言語は多岐にわたり、しかも今はMac OS上でも動くものが用意されています。


Azure

マイクロソフトで今一番売上成長率が高い(年率60%程度)クラウドサービスになります。マイクロソフトはそのサービス提供能力を増やすために世界中でデータセンターの開発を進めています。一般的なIaaSやPaaSで顧客企業が独自にAzureクラウド上でインフラとプラットフォームを構築しAzure SQL Data Warehouseなどのデータベースエンジン、Power BIなどのビジネスインテリジェントエンジン、Azure Cognitive ServicesなどのAIエンジンを利用する事が可能です。これに加えて、Azureの特徴はなんといっても、Microsoft 365やOffice 365などのマイクロソフトアプリケーションもクラウドで使用可能である事、そして、クラウドだけではなく、ローカルサービスやデバイスとの互換性と連携が可能な事になります。


Dynamics 365

クラウド上で使用可能なERP(Enterprise Resource Planning = 企業資源計画)及びCRM(Customer Relationship Management = 顧客関係管理)ビジネスアプリケーションになります。またマイクロソフトは2019年11月に、Dynamicsの長年のライバルであったSalesforceとも手を組み、Azureクラウドで後述のTeamsを活用してSalesforceのMarketing Cloudをサポートするビジネスを勝ち取りました。この点は利益相反になるのだが、恐らくマイクロソフトは自社のDynamicsの売り上げを多少犠牲にしてでも、Teamsを”ザ・プラットフォーム”に育て上げたい意向だと思われます。


HoloLens

こちらのHoloLensはバージョン2が発売されました。今話題のARやVRのトレンドを取れ入れたmixed realityのデバイスになります。将来的にはより改良がくわえられ、SF映画に出て来るような、空間にユーザーインターフェイスが表れて手で画面等を操作したりする事が可能になると期待に胸が膨らみます。


LinkedIn

マイクロソフトはLinkedInを2016年6月に262億ドルで買収しました。LinkedInはビジネスマンなら比較的ご存知の方も多いですが、ビジネス特化型SNS、リクルーティングツール、企業プロモーションプラットフォームになります。個人ユーザーは主にキャリア活動に使用する一方、売上はそのほとんどが企業リクルーティングサービス、プロモーションから発生しています。ユーザー数は5億人を超えているとされています。


Microsoft 365 (Office 365)

マイクロソフトのアプリケーション及びクラウドサービスのパッケージ商品になります。一般家庭向け、一般法人向け、大企業向けにそれぞれBasic, Standard, Premiumを用意し、ユーザーが適切なパッケージを選択できるようにしています。最も有名なアプリ群はやはりOfficeアプリであるExcel, PowerPoint, Word, Outlook, Access等でしょうか。クラウドサービスとしてはExchange, OneDrive, SharePoint, Teams等があります。すでに1億8,000万人の利用者がいるとのこと。Teamsに関してはリモートワークの浸透を見据えマイクロソフトが現在かなり力を入れていますので下記に独立させて紹介します。


Microsoft Teams

チャット、ビデオミーティング、コール、コラボレーション用のアプリケーションになります。ZoomやSlackが正に競合になりますが、大人数ビデオミーティングが可能な点、厳重なセキュリティが特徴になります。1,300万人/日のアクティブユーザーがいるとのことです。Dynamics 365でも述べた通り、Teamsを導入するためなら顧客がDynamics 365の競合でもパートナーシップを締結する方針である事から、マイクロソフトはリモートワークの流れに乗ってこのTeamsをOffice並に認知されるプラットフォームにしたい意向のようです。


Windows 10

マイクロソフトの最新のオペレーティングシステムになります。現在はノートPC、タブレットPC、デスクトップPC、スマートフォンとあらゆるデバイスに搭載されています。既に9億台のデバイスがWindows 10を利用しているとのことです。売上のメインはAceer、ASUS、Dell、HP、LenovoといったパソコンのOEM (Original Equipment Manufacture)の製造するパソコンへの事前インストール手数料になります。出荷基準で売上認識しているため、サプライチェーンのボトルネックに影響を受けます。


Surface

ップトップモードの Surface Go の隣に配置されたタブレットモードの Surface Go

マイクロソフトが開発製造販売するタブレットPCになります。タッチパネルとなっている事(タッチペン付き)、キーボードもある事、折り畳み可能な事などから、多用途に使用できます。AppleのiPadと通常のノートPCの中間で良い所取りをした商品。


Xbox

ゲームのプラットフォームになります。Xbox series XやXbox One Consolesといったハードウェアの販売と、定額制のゲーム利用サービスXbox LiveやXbox Game Passによるユーザーへの課金が売上になりますが、近年は後者の課金制(サブスクリプション)が成長しています。一方、ハードウェア販売はファーストパーティとサードパーティによる開発ゲームタイトルに影響を受ける上に競争が激しく飽和状態との分析があります。Netflixと同様、今後は好きな量だけ興味があるゲームをプレイする、というスタイルが定着すると思われるので、サブスクリプションは伸びる余地がありそうです。


近年の動向、ニュース

GAFAが市場を圧巻している一方、マイクロソフトは組織変革を通じて生まれ変わった事について
マイクロソフトの大変革

モバイルへのシフトの遅れの反省でクラウドサービス企業への変貌を遂げるマイクロソフト。Productivity Future Visionにより未来の世界を常にイメージし、Satya Nadella新CEOのもと、顧客第一主義を掲げる。
マイクロソフトの未来戦略

2030年までに単一年度の二酸化炭素ネット排出ゼロ、2050年までに創業から累積された二酸化炭素排出をすべてネットでゼロにすることを標榜し、気候イノベーション基金を創立。
二酸化炭素排出抑制及び気候イノベーション基金

コカ・コーラ社が全社のITシステムの刷新に関してマイクロソフトとパートナーシップを締結。
コカ・コーラによるマイクロソフトとの戦略的パートナーシップ

新型コロナウィルスによる試合停止を代替するお客様へのエンターテイメントの提供方法に関し、NBA(米国バスケットボール連盟)がマイクロソフトと包括的に提携。
NBAによるマイクロソフトとの戦略的パートナーシップ


セグメント、製品・サービス別の実績と特徴

セグメント別の売上・営業利益実績及び見込み

マイクロソフトのIR資料では

1. Productivity and Business Process(生産性及び事業プロセス)
2. Intelligent Cloud(インテリジェントクラウド)
3. More Personal Computing(個人コンピューティング)

の3セグメントに大別しています。1にはMicrosoft 365やOffice製品、Dynamics 365やホロレンズ、LinkedInが含まれ、2にはAzureやサーバー商品、GitHub、その他企業向けクラウドサービスが含まれ、3にはWindows OS、Surface、ゲーム、ポータルサイトでの広告などが含まれます。

下記チャートの通り、Intelligent Cloudセグメントが最も成長しており2015年度比較で直近12ヵ月は約2倍の売上になっています。5年弱で2倍なのでCAGR(平均年成長率)は約20%ですね。次に成長しているのがProductivity and Business Processesセグメントになります。Microsoft 365にはOffice製品の他、Teamsやその他サービスも順次加えられておりリモートワークの波をとらえています。LinkedInも2018年度に買収し売上に寄与しました。Dynamics 365は競争が厳しく、ホロレンズもまだ黎明期でそれほど売上貢献は無いと推測されますので、やはりMicrosoft 365とLinkedInが牽引している形になりますね。一方、More Personal Computingセグメントはあまり成長していません。ゲーム事業は飽和状態ですし、個人用パソコン出荷も世界のGDP成長率程度の成長しかあまり望めません。直近では新型コロナウィルスの影響で消費者の購買力減の影響を受けています

マイクロソフトIR資料から独自作成


営業利益ベースでみてもProductivity and Business ProcessesとIntelligent Cloudセグメントは売上増に比例して利益が上昇していますが、More Personal Computingは2015年度以降営業利益率を大幅に上げている事がわかります。これはきっと新CEOに就任したSatya Nadella氏による組織・事業改革の結果だと思いますが、なぜこれほどまでにMore Personal Computingセグメントの利益率が上昇しているのかは各種資料を読んでも特定できませんでした。費用配賦の方法が変化したのか、それとも純粋に変動費を大幅に抑える事ができたからなのか。今後の宿題として情報収集していきたいと思います。いずれにしてもポイントはMore Personal Computingセグメントの成長は鈍いものの、利益率は劇的に改善しており、営業利益貢献度はそれなりにある事です。

マイクロソフトIR資料から独自作成


製品・サービス別の売上実績及び見込み

セグメント別の製品・サービス売上内訳をみていきましょう。ちなみにマイクロソフトのIR資料には製品・サービスの営業利益内訳は開示されておらず売上のみになります。

まずは、Productivity and Business Processesセグメントから。やはりなんといってもOffice Commercialが稼ぎ頭ですね。当然と言えば当然ですが、Excel、PowerPoint、Word、Outlook、ExchangeなどのOffice製品・サービスを使用しない企業は見た事が無いです。近年はMicrosoft 365というパッケージで提供しており、ローカルコンピュータとクラウド上でも作動するようにしています。クラウド移行のニーズをうまく捉えているので今後も成長余地はあります

Office Commercialの次に売上貢献しているのはLinkedInですね。FacebookやTwitterといったSNSと違ってLinkedInはビジネス特化のSNSで、企業プロモーションや採用活動に大いに利用されており、エージェントによる中抜きを節約できる事もあり、企業がお金を支払ってもサービスを利用するのは納得できます。今後このようなLinkedIn経由での直接採用、リファーラルがますます増えると予想しますので成長余地はまだまだありそうです。

Office ConsumerとDynamics and Otherについては規模は小さいですが着実に売り上げは増えています。但しDynamicsに関してはERP / CRMパッケージ製品の競合が大きいためなかなか苦戦するのではないかというのが私個人の意見になります。

マイクロソフトIR資料から独自作成

次にIntelligent Cloud部門について。ここはなんといってもAzureの快進撃が凄まじいです。3年前の2017年度に39億ドルの売上だったAzureが2020年度会社予想では206億ドルの売上と3年で5倍以上もの成長です。規模が大きくなれば成長率は落ちますが、それでもAzureの直近四半期の対前年同期比成長率は59%にもなります。これはAmazonのAWSの成長率の約2倍にもなります。近い将来にAzureがマイクロソフトの全製品・サービスの中で最も稼ぐサービスになるのはほぼ間違い無いでしょう

Server Productsも従来からの売上貢献ビジネスです。ある程度の規模の会社ならばかならずローカルサーバーを設けるはずなので、基本的に企業活動の成長と共に全世界のGDP成長率に比例して伸びていくビジネスという理解です。尚、このサーバービジネスもやはりWindowsという圧倒的に支持されているオペレーティングシステムがあるからこそ売れるのだと思います。Windowsによってサーバーもローカルコンピュータも互換性を持つことができるというのは導入企業にとっての大きなメリットだからです。

マイクロソフトIR資料から独自作成


More Personal Computingですが、やはりPCにプレインストールされるWindowsの売上がメインになります。これは所謂ASUS、Acer、HPといったPCメーカーがPCを出荷する前にWindowsをプレインストールする際にマイクロソフトに支払うライセンスフィーがほとんどです。この売上はPCの出荷台数に大きく影響を受けますが、人口増加とデジタル情報へのアクセス率の増加によって基本的には世界のGDP成長と一緒に少しずつ成長していくと思われます。

ゲーム事業については、コンソール機器の販売はほぼ飽和状態になってきています。ですのでマイクロソフトとしては今後はコンソール販売売上ではなく、Xbox LiveやXbox Game Passなどのサブスクリプション型のゲームアクセス権の販売モデルにフォーカスしていく戦略です。既にXboxコミュニティは形成されているので、サードパーティゲーム開発事業者も当該プラットフォームにゲーム提供してくれるので、今後このサブスクリプション型ゲームモデルがどのように伸びていくのか非常に興味深いですね。

SurfaceはやはりAppleのiPadやMacbookという最強のライバルがいるのでその陰に隠れがちですが、Officeアプリを使用したい人でキーボードタイピングとタッチパネル両方の機能が欲しい人にとってはとても魅力的なポータブルPCだと思います。私は所有していませんが、PCの買い替え候補として現在検討中です。スタイリッシュですしもう少しスポットライトが当たっても良いなぁと思います。売上の数字は20%の成長を見せているので、実はMore Personal Computingセグメント内では一番成長しているビジネスです。実際のハードウェアがあって分かりやすいビジネスですし応援したいですね。

Search Advertisingは主にMSNポータルでの広告がメインの収入になりますが、どうしてもGoogleやYahooが強すぎて存在感が弱い印象です。でも数字だけ見ると少しずつではありますが伸びてはいます。とはいっても成長率はオンライン広告の成長率以下なのでそういう意味ではもっと頑張らないといけない分野だと思います。

マイクロソフトIR資料から独自作成


クラウド市場及びAzureのAWSに対する優位性

マイクロソフトのAzureの最強の競合先がAmazonのAWSになります。下表はAzureとAWSの比較表になります。容量、ディザスタリカバリ―、セキュリティ、料金といった機能はどちらもほぼ同じで非常に高いクオリティのサービスを提供していますが、AzureとAWSの大きな違いはやはり以下の2点に集約できると思います。

  • SaaSがAzureの方が豊富であり、Microsoft 365アプリ及びEdge(ローカル)コンピュータと連携している事
  • 東日本と西日本にメインリージョンがあり、かつ準拠法も日本のため、日本だけでクラウドの機能を最大限使用でき、セキュリティやデータ取扱いの問題が生じた際も日本法に則って処理できる。

AWSはIaaSやPaaSにフォーカスが当てられていますし(そもそもマイクロソフトみたいにソフトウェア会社ではないので)、クラウド利用の他にMicrosoft 365のような製品・サービスの合わせ売りができません。企業としてはMicrosoft Officeはほぼ確実に使用するので、パッケージで提供してくれるAzureに一日の長がある事になります。

また、マイクロソフトはローカライズを促進しており、マインリージョンが東日本と西日本にあります。Amazonは大阪にリージョンはありますがあくまでローカルリージョンの位置付けでありクラウド機能をフルで提供できません。顧客の視点、特に関西以西の企業の立場からすればAzureの方が安心できるはずです。しかも準拠法が日本法である事も一層安心感を与えます

マイクロソフトコーポレートページ、NTT Dataコラム、その他Web情報を独自に整理


実際、Azureはマーケットシェアを伸ばしており、下記Canalysによる調査では、直近1年足らずでAWSは市場シェアを2-3%ポイント分増やしているのに対し、AWSは1%ポイント程度下げています。マイクロソフトの2020年度第3四半期レポートによるとAzureの2020年度第3四半期の成長率は前年同期比59%とのことです。AWSは30%超なので約AWSの2倍の成長率です。今後も一層Azureの快進撃が見込め、5年後にはAzureはAWSとマーケットシェアで肩を並べると予想しています


追加情報として、下記にいくつかFlexera 2020 State of the Cloud Reportからグラフ等を抜粋しました。約500社の最高経営責任者や最高IT責任者へヘアリングした結果、AWSを採用している企業が76%とAzureの69%よりも高かったものの、未採用の企業で現在試用中もしくは今後採用したいという割合はAzureが23%とAWSの17%を上回っていました。また、ほとんどの企業が単一のクラウドサービスを利用するのではなく、複数のクラウドサービスを利用することでリスク分散を図っている事、さらにクラウドのみではなく、ローカルコンピュータの利用も含めたハイブリッド型を嗜好している結果となっています。Azureは正にハイブリッドでの導入に強みがあります。また、企業は翌年度のクラウド関連予算が今年の実費の平均47%増になるとの回答もあり、クラウド市場は拡大していくのは間違いなさそうです

Flexera 2020 State of the Cloud Reportから抜粋


尚、GoogleのGCPも加えた3クラウドサービスの比較については下記コラムが網羅的におさらいしていますので、興味がありましたら確認してみて下さい。

Azure、AWS、GCPクラウド比較


TeamsのSlackに対する優位性

ついでに現在マイクロソフトが力を入れているTeamsというビデオ会議、コラボレーションアプリケーションについても少し説明したいと思います。このTeamsというアプリの最大の競合はなんといってもSlackですね。Slackは既にかなり普及していて、手軽にメッセージ、ビデオ会議ができると人気のアプリケーションです。実は、当初マイクロソフトはSlackの買収を検討していましたが、Satya Nadella氏が創業者であるビル・ゲイツ氏と協議を重ね、最終的にはマイクロソフト自らがビデオ会議・コラボレーションアプリケーションを作ってしまおう、という結論に至ったようです。下表にTeamsとSlackの比較を整理してみました。

マイクロソフトコーポレートページ、ITメディア、その他Web情報を独自に整理

確認いただけるように、一言でいえばTeamsはセキュリティがかなり厳重で大人数に対応できる大手企業向けのアプリケーションでSlackは中小企業向け、といったところでしょうか。実際、参加可能員数は最大10,000名とTeamsはライブイベントもできる容量がある一方、Slackは最大15名です。ファイルシェア・アップロード容量もTeamsの15GBと比べSlackは1GBです。また、Teamsはクラウドサービスでローカルコンピュータへダウンロードし利用する事もできますが、Slackは基本的にブラウザ経由でクラウドサーバーにアクセス形を取ります。

これだけ見ると、TeamsとSlackはそもそもの想定顧客やシステム設計コンセプトが違うアプリだとお分かりいただけると思います。とはいえ、Slackも今後拡張機能の実装や容量拡大をすれば当然性能はTeamsに近づく事は可能です。Slackがサービス提供開始したのが2013年と早かった事、非常に簡単にアプリ設定をし手軽に利用する事ができた事から、中小企業も含めマーケットリーダーとなっていましたが、2017年にサービス提供開始した後発のTeamsがもの凄い勢いでアクティブユーザー数で成長しています。下記記事の通り、アクティブユーザー数は2019年時点で既にTeamsがSlackを追い抜いたという情報もあります。

TeamsユーザーがSlackを追い抜く

尚、新型コロナウィルスの影響によるリモートワークの促進で利用者が急増したビデオチャットサービスにZoomもあります。Zoomに関しては個人的にはTeamsとは棲み分けがかなりされるのではないかと思っています。Zoomは基本的にWebブラウザで立ち上がるクラウドアプリであり、ビデオ会議以外のビジネス機能がほぼ無いからです。それなりの規模の企業が従業員のコラボレーションやプロジェクトマネジメント管理の一環としてビデオ会議アプリを使用する場合、どうしてもOfficeと連携して機能が充実しているTeamsになるのではないかと思います。また、下記記事のようにZoomにはセキュリティに大きな欠陥がある事が分かりました。Teamsはこのセキュリティの部分をかなり重要視して、厳重なセキュリティをもつシステムを構築しているため、この点でも中、大企業はTeamsを好むでしょう。Zoomのセキュリティ問題に関しては下記記事が参考になると思います。

Teamsはセキュリティ・プライバシー対策でZoomに対抗


バランスシート及びキャッシュフロー

健全な財務体質

下表は2013年度から直近2020年3月までのマイクロソフトのバランスシートの推移になります。7年弱で総資産は約2倍の2,854億ドルに増えました。固定資産の中の施設設備投資が大幅に増加していますが、大部分がクラウドサービスのためのデータセンター開発になります。マイクロソフトはAmazonやGoogleなどに先駆けて中東にリージョンをもっています。爆発的なクラウド需要の増加に対応するためにもデータセンターの拡大が必須になります。

のれんに関しては2017年度と2019年度に、無形資産は2017年度に大きく増加しています。これは2016年下半期に完了したLinkedInの買収(262億ドル)と2018年9月に完了したGitHubの買収(75億ドル)で発生しました。特にLinekdInの買収額は大きかったのでその際に多額の有利子負債を追加借り入れしています。また、Tax Cut and Jobs Act (TCJA)による繰延税金負債の増加及び長期契約においてマイクロソフトが役務提供していないにも係らず既にその分の代金を受領している未収収益の負債も増加しています。従って総資産に占める負債比率は2013年度の44.6%から2020年3月には59.9%にまで高まりました

しかしこの負債比率の高まりは財務体質にはほぼ全く悪影響は及ぼしていません。それほどマイクロソフトは財務基盤が健全です。具体的には、2020年3月の流動資産合計額に注目してください。この1年以内に現金化できる資産約1,705億ドルの大部分を1,259億ドルを短期投資証券(社債、公債、MMF商品)などで運用しています。一方、短期と長期を合わせた負債総額はいくらかというと約1,709億ドルになります。

そうなんです、いざとなれば流動資産だけで、現在のマイクロソフトの全負債(有利子負債だけでなく)をカバー出来てしまうんです!この事実だけでいかにマイクロソフトの財務基盤が安定しているかお分かりいただけるのではないでしょうか。実際、格付け会社のS&Pによるマイクロソフトの社債の信用格付けはトリプルAです。民間企業債でトリプルAを獲得できているのはなんと2社だけで、ジョンソン・アンド・ジョンソン、とマイクロソフトだけになります!

マイクロソフトIR資料から独自作成


強いキャッシュフロー創出力

続いてキャッシュフローについて。営業キャッシュフローは年々増加してますね。直近12ヵ月では実に581億ドルもの営業キャッシュフローを創出しているとんでもない会社です!外部借入に全く頼らずとも自社株買いや配当の原資も含めた財務キャッシュフローの424億ドルと投資キャッシュフローの150億ドルを完全にカバーしています。仮に自社株買いと配当が無ければ、十分すぎて余るほどのキャッシュを事業で創出している事になります。この強いキャッシュ創出力もマイクロソフトが超安定優良企業たるゆえんです。

ちなみに、総資産から現金及び現金同等物と短期投資証券を除いた資産を実質の事業投下資産と見做し、投下した事業資産の営業キャッシュフロー利回りを下表の最後の行で計算してみたところ40%前後で推移しています。資産キャッシュ効率も非常に高い事もお分かりいただけるかと思います。

マイクロソフトIR資料から独自作成

まとめ(= 絶対に投資すべき)

以上、網羅的にマイクロソフトについて投資と事業の観点で見てきましたが、マイクロソフトは高成長超優良銘柄で今後も一層成長する事が見込まれますので、マイクロソフトへの投資を強くおすすめします

最後にその理由を下記の通り整理して終わりとさせていただきます。長々と読んでいただきありがとうございました。

  • 今後のリモートワーク促進による恩恵が一番大きいビジネスモデル
  • Azure, Teams, HoloLens, Office 365はじめとしたクラウド、AI等の成長分野のポートフォリオが多岐に渡る
  • 成長株へと変貌を遂げておりPERがGAFA水準(20倍後半)まで回復している
  • 非常に健全な財務体質(流動資産だけで負債全額をカバー可能)とキャッシュフロー創出力
  • 継続的な株主還元施策(配当と自社株買い)
  • Amazon, Zoon, Slack, Google, IBMなどとの競合に対しての競争優位性がある(Office 365等のビジネスで必須のアプリ、厳重なセキュリティ、ローカル端末利用も考慮したハイブリッド設計、競争力のある価格、等)
  • 現CEO, CFOをはじめとした有能で若いリーダーシップへのスムーズな世代交代の実現

  • Kufong
  • 上海生まれ、日本育ち、米国留学、マレーシア駐在を経て、現在妻と一人娘と一緒に東京で楽しく生活。不動産、資産運用、グルメ、旅行が大好き。金融工学修士修了、CFA (Chartered Financial Analyst)。